VOL 545|ドア 補修考
断る勇気
2021.03.08作業時間
料金
賃貸の収納庫の穴です。
賃貸会社さんが別の業者に依頼した穴補修ですが、補修跡が目立つとのことで依頼があり見に行くと写真の仕上がりでした。
僕は他の人の仕事を評価できる程自信家ではないので、仕上がりについての論評は避けますが、僕が補修屋として心掛けていることの一つが、「お客様の期待を裏切らない」ということです。
大切なことは傷に向き合ったとき、自分の実力と照らし合わせ、補修の完成を想像しお客様が満足していただけるかどうか・・・を判断することです。
傷ついている部材の種類や場所、周りの窓や照明の具合、傷んだ経緯やお客様の求めるレベル等、種々の要因を考慮してそのレベルにできないと思ったときは例えかっこ悪くてもお断りする勇気が必要です。
お客様の満足するレベルにできなかったということは、結果としてこの補修をした業者さんはその判断が甘かったのだと思います。
かくいう私も甘い判断をしたことでお客様に迷惑をかけ恥をかいてきました。
ですから今回は再度自分を戒める現場になりました。
でも補修屋の性というか、ちょっと無理そうな傷はやってみたくなるんです。
お客様のことを考え泣く泣くお断りしますが、そんなとき「水野さんがやってもダメなら取り替えるからやってみてよ」という優しい言葉をかけて下さるありがたいお客様がいるんです。
こういう仕事は腕を上げる千載一遇のチャンスです。持っている実力を精一杯使ってやった仕上がりをみて、自分の想像通りだったところ、足りなかったところを確認できるのですから。
僕らはこういったお客様に育ててもらったようなものです。
今はすぐに結果を求められる時代になったのか、こういったお客様は少なくなりました。
現場でも即戦力を求められて新人を育てる余裕もなくなり、将来職人のなり手が減り、レベルが下がり、きちっとした仕事ができなくなるのではないかと心配です。
難しい時代になりました。
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