VOL 240|補修考
補修考 ≪七の巻の2≫
2010.04.15≪七の巻の1≫はVOL.234
スイッチングコストとは、今迄使っていた物やサービスを別の物に替える(スイッチング)のにかかるコストのことです。
一般的な物品に関してはかからない場合が多く、例えばお米の銘柄を替えたりボールペンを替えたりしたところで何ら問題なく使うことができ、替えることによる出費(スイッチングコスト)はかかりません。
しかしパソコンなどはひとつ替えることで、今迄使ってきたデーターや使い勝手が大きく変わり、それを克服する為にコストや労力が多大にかかることになって、一度使い始めた物を使い続ける傾向があります。
建築業界もこれに似て、業者や建材を極力替えないようにしたがります。チャレンジ精神がない感じがしますが、実績のない初めての業者や新しい建材を使うことは思いもよらぬクレームを招く危険があることを経験上知っているからです。
この場合スイッチングによるコストと言うより、リスクがあると言った方が正確かもしれません。
特に補修という仕事は引き渡しが迫ってからの仕事が多く、頼りにしていたのに使えなかったでは済まされないという特別な面もあると思います。
補修をはじめ職人仕事というのは流通業界のように大量生産大量販売ができない以上、値下げを武器に営業をかけたとしてもプラスになることはひとつもありません。
戦略的な値下げが通用しない以上、価格弾力性の小さい補修業に就いては技術力やサービスによる独自性を出し、お客さんに発信し続ける。これしか生き延びる方法はないのだと思います。
補修考 ≪八の巻≫へ続く
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